商材を変更―老眼鏡から台湾製電話機に[36]
徳島県の鳴門ピア博覧会から2ケ月
鳴門ピアから帰京したのが6月末でした。インポートフエアーですから販売商品は、当然輸入品でなければ販売不可能です。
私の商品は国産老眼鏡なので、インポートフエアー用に、代替え商品を急遽調達しなければなりません。
幸いにも台湾から電話機を輸入している業者が世田谷で見つかり、製品を見ると日本製に比べてあか抜けたデザインで、これなら売れると取り合えず2ダースほど注文したのです。
サンシャインの文化会館でのインポートフエアーは、8月のお盆休みの11日から始まりました。
中曽根首相肝入りの最初のフエアーですから、広報も万全で、初日は多くのマスコミも取材に訪れ、予想通り大盛況です。
首相も視察に訪れ、私の斜め前の小間でネクタイを購入したのち、なんと私の小間に来て「どこの電話機だい?いいデザインだね?」とお褒めの言葉をかけてくれます。
同行のマスコミが取材した画像が、夕方のTVニュースで流れたそうです。
そのニュースを見ていたCオプティカルの社長から、TVに大きく出てたよ、と後に聞きました。
お客様の入りも上々でした。予想を大きく上回る盛況ぶりです。
大金を持つて来たお客様は、真夏にもかかわらず毛皮のコートなどの高額品を買われていきます。
気にいつた輸入品があれば買う気満々ですから、こんなに有難いお客様はいません。
午後になると業者たちの目の色が変わり、この機会を逃すなと、どの小間も必死の売り込みが始まつていたのです。
どこの業者もよく売れていましたが、見本市販売では、今まで見かけない業者が出展してたのが多く印象的です。
インポートフエアーがこんなにも売れるのかと、どの顔も紅潮しています。
(このフエアーで味をしめた業者が、この後の各地のインポートフエアーで出展してくるのでした)
肝心の私の商品(電話機)の売り上げは?
それがおもつた程芳しくないのです。
周囲の業者はよく売れているのに、せつかくのチャンスを生かせない自分に歯がゆい限り。
2日目にはとうとう禁断のカードを切ります。
ただその前に、初日の夜に歴史に残る大事件(事故)が発生したのでした。
あなたも知る日航機(JAL123便大阪行き)が三鷹須山に墜落した事件です。
油圧システム㋨故障により垂直尾翼が破壊・操縦不能となり墜落したものです。
翌日のインポートフエアーはこのニュース1色で、私も途中でTVを見に行き、丁度少女がヘリコプターで救助されるところでした。
本当に不幸な・悲惨なニュースでしたが、館内のフエアーは変わらず盛況が続いていました。
小間半分に老眼鏡を展示・販売
電話機の売れ行きが良くないので、私は禁断のカードを切る決断をしました。
老眼鏡の販売です。
フレームは韓国製なので、輸入品だと自分の心に言い聞かせて、無理やりこじつけたのです。
(レンズは日本製で、国内で組み立ては国産品扱いとなる。本当はやつてはいけません!!!)
この決断が功を奏しました。
たちまち小間の前は人だかりで、老眼鏡は売れはじめたのです。
こうなると電話機を後方にひっ込めて、老眼鏡を前面に押し出し全面的に販売です。
当初は忸怩たる気持ちがありましたが、売れることでいつの間にか雨散霧消しました。
この経験が老眼鏡輸入のきっかけとなる
#画像クリツクで商品詳細