使用者の視点に立った商材か? 思い込み商品で大失敗[5]
商材(商品)選びには必ず使用者の意見を求める!
企業が新しく商品を開発する場合、対象消費者に意見を求める。
たとえば10代向けのファンシー雑貨を作るときには、中・高生を集めて意見や感想を求める。
主婦向けの新しいレシピの開発には、主婦から改善点を指摘してもらう。
メーカーに限らず販売者も同様に、商品を仕入れる際には、消費者から受け入れられるか慎重に検討する。おかげで売れない商品が世に出るのは、少ないのではないだろうか。
ところが商売を始める初心者は、自分の好みや思い込みで商材を選ぶ傾向がある。それはそれで悪いことではないが、一つ間違うと大損に繋がる。実は私もその例に漏れないひとりだ。
鹿児島県発明学会・県知事賞受賞の商材を販売
商材探しに余念がない時、鹿児島の年配の男性から連絡があり、県の発明学会で県知事賞をもらつた、自分の発明品を販売してくれないか、との依頼であつた。
発明学会の県知事賞の商品ならば売れるかもと、依頼を引き受け、数日後、30個の商品が入つた段ボール箱が届いた。
その商品とは、「赤ちゃん授乳に使う哺乳瓶の保持に使うもの」。こう説明してもあなたには分かり辛いでしょう。
写真があれば良いのですが、あの商品は多分この世には無いでしょう。
図を描くパソコンの技量はないので、言葉で説明します。
50cmくらいの変幻自在に曲げられるステンレスの蛇腹(学習机ライトスタンドについているもの)の両端に、赤ちゃんベットに固定するグリップと哺乳瓶を挟み込む丸型のグリップが着いているものです。
発明者によると、この器具を使うことで、母親の授乳時間が必要なくなる、その間他の仕事もできるので、絶体売れると自信満々。
保育園などでも需要が期待できるので、同じ考えの私もさつそく看護福祉の展示会に出展したのです。
主に看護婦(当時の呼称)の来場が期待されていました。私はうまくいけば、大口の注文もあるかもと期待して、展示台横で待機していました。
ところが展示台の前を通る看護婦はいるけど、誰一人として立ち留まり、説明を求めてくる人はいません。
それどころか一瞥して、バカにしたような様子で立ち去ります。
思いきって年配の女性に感想を聞いてみました。ある病院の婦長さんでした。
婦長さんは私を憐れむような口調で「産婦人科でこのような器具を使い授乳させていたら、次の日から母親は赤ちゃんを連れて、他の病院にいきます。2度と来院しないでしょうね。」
商材(商品)選びに思い込みや好みは間違いの元
発明者と私は根本的なところを完全に誤っていたのです。
使用者の立場にたたない商品の評価の惨めさ、いやというほど味わいました。結局1個も売れませんでした。
それまでにも展示会に出たことはありましたが、1個も売れない展示会は初めて経験しました。
小さな展示会だつたので、金銭的には10万くらいの損失で済みましたが、この時学んだ経験は、その後の商材探しに活かすことができたと思うと悔いはないです。
それにしてもこのような商品が、なぜ県知事賞を受賞したのか、いまだに人生7不思議のひとつです。
消費者に本当に支持されるものか、周りに聞け!!
#画像クリツクで商品詳細